「はるか夢の址」(リーチサイト)の仕組み
インターネットで海賊版漫画をタダ読みできるリンク先を集めた国内最大級のリーチサイト(誘導サイト)の運営に関わるなどしたとして、大阪など9府県警の合同捜査本部が31日にも、堺市の元大学院生の男(22)ら数人を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで逮捕することが捜査関係者への取材でわかった。
誘導サイト「趣味みたいなもの」 タダ読み助長を否定
タダ読み誘導サイト、量と早さで群抜く 摘発受け閉鎖
このサイトは2008年に開設された「はるか夢の址(あと)」。今年7月に関係先が家宅捜索を受け、閉鎖された。「名探偵コナン」や「ワンピース」などの人気漫画の海賊版リンクが多数掲載され、知られた存在だった。
捜査関係者によると、サイトを運営していた元院生らは、漫画を違法にアップロードしたファイルのリンク先を海賊版の投稿者に掲載させるなどし、不特定多数の人が無料で読めるようにして著作権を侵害した疑いがもたれている。元院生は捜索後、退学処分になった。
リーチサイトは、著作権者の許可なく海賊版がアップされたページに、利用者を誘導するためのリンクを集めたもの。投稿者が作品をスキャンして電子データ化し、「サイバーロッカー」と呼ばれるファイル保存サービスにアップロード。リンク先がサイトに投稿されている。
運営者の特定が難しく、サイト内で海賊版を直接読めるわけではないため摘発は難しいと考えられていた。捜査本部は、押収したパソコンや携帯電話の記録などを解析し、元院生が運営の中心だったと特定した。長期間にわたり膨大な海賊版のリンク先を示していることなどを重視し、著作権法違反容疑が問えると判断した。海賊版の投稿者についても調べを進める。