解体に向けた作業を始める神戸製鋼所の神戸製鉄所の高炉=2010年5月
神戸製鋼所は31日、神戸製鉄所(神戸市)の高炉を休止した。鉄を溶かすのに必要な熱風を高炉へ吹き込む作業が午前に終わった。半世紀以上にわたって国内産業を下支えし、1995年の阪神・淡路大震災をも乗り越えて神戸復興の象徴とされた火が消える。
高炉は製鉄所を代表する設備。鉄鉱石を溶かして鉄をとりだし、粗鋼といわれる鉄製品のもとをつくる。神戸製鉄所には最盛期に3基の高炉があった。いまは66年に「火入れ」をし、改修を重ねてきた「新第3高炉」だけが残っていた。
阪神・淡路大震災では壊滅的な被害を受けて操業停止に追い込まれたが、所員らが高炉の火を守ろうと約2カ月半で復旧。地域のシンボル的な存在だった。
神鋼は生産効率を上げるため、高炉を加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に集約し、跡地に石炭火力発電所を新設する計画だ。高炉は来春までに解体される。製鉄所としては残り、加古川から粗鋼を運んで自動車用の鉄製品などをつくる。神鋼にとっては、アルミ・銅製品などの検査データの改ざんで会社が揺れるなかでの高炉休止となった。(神山純一)