アルミニウム・銅製品の検査データを改ざんしていた神戸製鋼所で、鉄鋼製品でも品質を巡る不正があったことが13日わかった。中国のグループ会社がつくる線材と呼ばれる製品で、顧客との契約とは異なる製品が含まれていた。主力の鉄鋼製品に問題が拡大し、さらなる経営への影響は避けられない。川崎博也会長兼社長が13日午後に都内で会見し、詳細を説明する。
「神戸製鋼の信頼度はゼロに落ちた」 社長の一問一答
川崎氏は12日に記者団に対し、未公表の不正事案が国内外で複数あることを明らかにしていた。ただ鋼材については「それは入りません」と発言しており、整合性が問われそうだ。
問題の製品は、自動車部品などに使われる鋼鉄製の線材。アルミなどの改ざん問題を受けた社内調査で見つかった。神鋼は「アルミ・銅で明らかになったデータの改ざんや捏造(ねつぞう)、手抜き検査とは異なる内容だ」(広報)としているが、顧客との契約とは「不適合」となっていたことがわかったという。すでに顧客と協議し、理解を得たという。
鉄鋼製品は神鋼の主力製品で、中国では現在、グループ会社の5工場で、自動車に使われるバネや、ボルトなどに加工される素材を製造している。鉄鋼製品は売上高の4割近くを占め、すでに改ざんが明らかになったアルミ・銅の2割を大きく上回る。主力製品でも問題が判明したことで、業績への影響は避けられそうもない。
また、データが改ざんされたアルミ製品が、JR九州の在来線の新型車両の一部に使われていたこともわかった。主に筑豊線(福岡県)の区間を走っている蓄電池を搭載した車両「DENCHA(デンチャ)」で、6編成12両で使用が確認された。昨年度導入した新型車両で、胴体部分のアルミ板が本来の仕様より厚くなっていた。接合部にズレがみられる箇所もあるという。JRは安全性の問題はないとして、車両の運行は続ける。
経済産業省は12日、神鋼に対し、出荷した製品の安全性の検証を2週間程度で、原因究明と再発防止策を1カ月以内に公表するよう求めている。