「N5」護岸の建設予定海域に石が入った網が投下された=6日午前10時34分、沖縄県名護市辺野古、上遠野郷撮影
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、政府は6日、埋め立て予定海域の南側で新たな護岸工事を始めた。県に許可を申請中の希少サンゴの移植を待たずに、準備が整ったと判断した。
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今回着工したのは「K1」(長さ約210メートル)、「N5」(約270メートル)と呼ばれる2カ所の護岸。午前10時半過ぎ、N5の工事海域に石が入った袋がクレーンでゆっくり落とされ、すぐにK1でも投下が始まった。周囲の海上では反対派が船から抗議の声を上げた。
2カ所の護岸はいずれも米軍キャンプ・シュワブの南岸で、6月から工事車両が通る仮設道路の建設が始まっていた。当初は9月下旬の工事開始を見込んでいたが、相次ぐ台風接近などで時期がずれ込んだ。
防衛省沖縄防衛局は先月26日、南側の埋め立て予定海域で7月に見つかった希少なサンゴ1群体を別の場所に移植するための特別採捕許可を沖縄県に申請した。だが、工事中止を求める翁長雄志(おながたけし)知事がいつ移植の可否を判断するのかが不透明なうえ、「仮に移植をしなくても、水流のシミュレーションから環境悪化にはつながらない」(政府関係者)として、着手に踏み切ったという。
北側では、4月から埋め立ての第1段階となる護岸工事が始まっている。(山下龍一、上遠野郷)