トランプ米大統領の訪韓を前に、「戦争反対」「平和の対話を」などのプラカードを手に集まった人たち=5日、ソウル、武田肇撮影
トランプ米大統領が7日、韓国に国賓として初訪問するのを前に、ソウルで反米デモや集会が増えている。文在寅(ムンジェイン)政権は、朴槿恵(パククネ)前大統領の弾劾(だんがい)を求めた市民の運動「ロウソク革命」から生まれた政権と自任し、集会の自由を最大限認めてきた。だが、一部の集会を禁止するなど、神経をとがらせている。
「米国は軍事行動の中止を」。ソウル中心部・光化門近くの広場に5日、約5千人の市民が集まり、「NO WAR」などと記したプラカードを手に声を上げた。出版社勤務の女性(54)は「トランプが北を刺激し、戦争になるのではないかと心配で来た」。
ソウル地方警察庁によると、トランプ氏の訪韓中の集会の届け出は100件以上。その大半が反米・進歩(革新)派系団体がトランプ氏を批判するために開く集会だ。そのうち、警備上の危険があるとして、青瓦台(大統領府)周辺での集会の禁止を通告した。政権発足後、集会の禁止を求めたのは初めてだ。
一方で、デモ参加者は政権の支持基盤でもあり、対応には苦慮している。4日夜に約2千人が参加した反米デモは、米国大使館前の路上に20分以上立ち止まり、トランプ氏を糾弾し続けたが、警察は制止しなかった。トランプ氏の風刺画を描いた紙が大使館に投げつけられた。
青瓦台は5日、「客人を歓待することは韓国の伝統だ。国民の皆さんが心を合わせてトランプ大統領を温かく歓迎してほしい」とする異例の談話を発表した。(ソウル=武田肇)