亡くなった野球部の男子生徒が転落した新大徳川付近=金沢市鞍月3丁目
野球部の練習試合でボールを拾おうとして金沢市の新大徳川に転落し、意識不明の重体となっていた石川県立金沢西高校(同市畝田東3丁目)野球部員の1年の男子生徒が7日、亡くなった。同校の山越善耀(よしあき)校長が明らかにした。死因などは把握できていないという。
同校はこの日開いた全校集会で、生徒に男子生徒の訃報(ふほう)を伝えた。集会ではすすり泣く生徒らもおり、学校は動揺が大きいとして、午前中で授業を切り上げた。特に野球部は大きなショックを受けている部員が多いことから、県教育委員会が派遣するカウンセラーによる心理相談を1、2年生の部員全員が受ける予定という。野球部は全体練習を自粛している。
山越校長は「回復を祈り続けていましたが、このような結果になって本当に残念です。ご家族の気持ちを考えますと、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と取材に対して話した。
金沢西署によると、男子生徒は5日午前10時半ごろ、他校との練習試合での本塁打で川に落ちたボールを川岸の柵を乗り越えて拾おうとして、足を滑らせて川に落ちた。学校の説明では、もう1人の生徒が助けようとしているところを見かけた通行人がグラウンドにいた顧問の教諭に伝え、その教諭が119番通報。転落から救出まで約30分かかったという。
現場の川岸ののり面は34度の斜面、水深は2メートル以上ある。普段から野球部員は川に落ちたボールを拾っていたが、柵は越えないよう監督が指導していたという。新大徳川では2007年4月、小学3年生の男子児童がおぼれて死亡している。山越校長は「その事故は把握していなかった。新大徳川は一見、緩やかに流れているように見えるが、落ちると上がれない、危険な川だということを生徒に周知していきたい」とした。今後は川に落ちたボールは拾わないことを決めたという。川を管理する県央土木総合事務所はこの日、新大徳川全域の安全確認をした。一部のさびた柵の補修を検討するとしている。
また、県高校野球連盟は7日、部活動中の生徒の安全確保のための文書を加盟51校の校長と責任教師あてに送った。事故が起きないよう施設や設備を再点検し、必要な措置をとることや、生徒に複数で行動させるなどの対応を求めている。県高野連は金沢市内で17日に開く理事会で安全対策を話し合う。(塩谷耕吾)