プロ野球で最も活躍した先発完投型の投手に贈られる沢村賞の選考会(堀内恒夫委員長)が30日、東京都内であり、巨人の菅野智之投手(28)が選出された。巨人の投手が選ばれるのは2002年の上原浩治投手(現カブス)以来。菅野には金杯と賞金300万円が贈られる。
最新の試合結果はこちら
菅野は今季17勝5敗の活躍で、勝利数のほか防御率や奪三振など、沢村賞の選考基準7項目のうち5項目を満たした。今季16勝6敗の西武・菊池雄星投手(26)も、菅野と同じ5項目の基準をクリア。選考委員5人による選考会では「菅野と菊池のダブル受賞」の意見も出た。しかし、「今季のベストワン投手を決めるべきだ」との意見でまとまり、両投手の成績などを検討した結果、全会一致で菅野に決まったという。菅野は勝利数と防御率が両リーグトップで、年間を通じて安定した投球をみせたことが高く評価された。
完投数の選考基準についても議論された。投手の分業制が進んだ近年は、10完投の基準を満たすことが難しくなっている。沢村賞でこの項目をクリアしたのは、11年に14完投した田中将大投手(楽天=現ヤンキース)が最後。11年はダルビッシュ有投手(日本ハム=現ドジャース)も10完投し、田中とともに7項目すべてを満たした。しかし、12年以降は全項目クリアの投手は出ていない。
このため、来季の選考から「補足基準」としてクオリティースタート(QS)の達成率を加えることを決めた。大リーグでQSは一般的に「6回以上を自責点3以内」とされるが、「先発完投型」という賞の設立趣旨から、沢村賞の補足基準は「7回以上を自責点3以内」と設定した。なお、今季の菅野のQS達成率は76%(25試合中19試合)で、規定投球回以上の投手で最高。菊池は73・1%(26試合中19試合)で2位だった。