ASEAN+3首脳会議を前に、記念写真におさまる各国首脳ら。左から6人目は安倍晋三首相=14日午前、マニラ、岩下毅撮影
フィリピン・マニラを訪問中の安倍晋三首相は14日、インドのモディ首相や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の首脳と相次いで会談した。日米共通の外交戦略として打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」への連携を呼びかけた。
安倍首相は防衛協力などで結びつきが深い豪州と並んで、インドとの連携を重視。モディ氏との会談で「『日印新時代』にふさわしい関係に発展させたい」と期待を寄せた。ASEAN+3(日中韓)首脳会議でも「インフラ整備や人材育成で、この地域の連結性向上に貢献していく」と述べ、港湾や鉄道などの整備を通じて人やモノのつながりを深めていく方針を示した。
同戦略は太平洋からインド洋にかけた地域を自由と法の支配、市場経済を重んじる場にしていく構想。6日の日米首脳会談で日米の共通戦略としてアジア太平洋地域に広めていく方針を確認した。首相はこれを受け、今回のアジア外遊でASEAN各国との個別会談や首脳会議を利用し構想への理解と連携を呼びかける外交を展開してきた。
北朝鮮問題も議題になった。首相は「北朝鮮は制裁回避のためにASEAN地域を利用してきた」との考えから、ASEAN各国に国連安全保障理事会の制裁決議の徹底した履行を改めて要請。14日夜にはミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問とも会談。北朝鮮への圧力強化を求めたほか、鉄道整備や農業支援などで1250億円の資金協力をすることを伝えた。(マニラ=田嶋慶彦)