厚生労働省は8日、医療機関や薬局の経営状況を調べた2016年度の「医療経済実態調査」の結果を公表した。精神科以外の病院の利益率(収入に対する利益の割合)はマイナス4・2%の赤字で、1967年の調査開始以来3番目に低かった。人件費が膨らんだことが響いた。一方、診療所と歯科診療所、保険薬局は黒字を確保した。
調査は医療サービスの公定価格である診療報酬の18年度改定の基礎データとなる。約8800の病院や診療所、保険薬局などに15~16年度の収支などを尋ね、56・25%から回答を得た。
病院の利益率は、前年度から赤字幅が0・5ポイント拡大した。過去最低の07年度のマイナス5・6%、08年度のマイナス4・4%に次ぐ低さだった。
前回16年度の報酬改定で診察料や入院料などの「本体部分」は0・49%のプラスだったが、運営費の半分以上を占める医療従事者らの給与費が前年度より2・1%伸びて収益を圧迫した。厚労省の担当者は、医療従事者の増加が要因とみている。報酬の加算を受けるため、人材の配置を手厚くしたためとみられる。
運営形態別では、国立病院はマイナス1・9%(前年度比0・6ポイント減)、公立病院はマイナス13・7%(同0・9ポイント減)。国公立を除いた民間病院などは0・1%(同0・3ポイント減)で黒字を確保した。
診療所は13・8%(同0・2ポイント減)、歯科診療所は21・6%(同0・6ポイント増)、保険薬局は7・8%(同0・6ポイント減)と安定した利益率だった。
医療法人が運営する民間病院の医療従事者の年間給与・賞与額をみると、勤務医が約1516万円(同0・2%増)、看護師は約455万円(同0・3%増)。最も高かったのは病院長で、約3160万円(同0・6%増)だった。(水戸部六美)