首脳会談の冒頭、握手するマレーシアのナジブ首相(左)と安倍晋三首相=12日午後5時19分、マニラ、岩下毅撮影
安倍晋三首相は12日、訪問先のベトナム・ダナンから政府専用機でフィリピン・マニラに移動し、マレーシア、インドネシアの首脳と相次いで会談した。マニラでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席する。
ASEAN関連首脳会議に先立って行われた両会談では、インフラ事業での協力や自由貿易の促進に加え、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮や中国が権益拡大を進める南シナ海の情勢について意見が交わされた。
日本政府によると、マレーシアのナジブ首相とは約30分間会談した。ナジブ首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意したことに触れ、「日本のリーダーシップに感謝したい」と発言。これに対し安倍首相は「早期発効に向け協力したい」と応じた。
インフラ事業で日本や中国からの投資を呼び込んでいるインドネシアのジョコ大統領とは約25分間会談。ジョコ氏は来年の国交樹立60周年を機に「日本とのインフラ分野のプロジェクトを進展させたい」と発言し、首相も「インフラ協力を進めていきたい」と述べた。
また両会談ともに、北朝鮮と南シナ海の情勢で意見を交換し、緊密に連携していくことで一致した。安倍首相はジョコ氏に対し「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めるという力強いメッセージを出すべきだ」と訴え、ジョコ氏も「毅然(きぜん)とした対応をしていきたい」と述べた。
13日には、日・ASEAN首脳会議が開かれ、北朝鮮や南シナ海の情勢も議題になる見通し。ただ、安倍首相は同じ日に中国の李克強首相とも会談する予定で、南シナ海の情勢にどこまで踏み込むかが焦点だ。(マニラ=藤原慎一)