東アジアサミット首脳会議に臨む(席上左から)中国の李克強首相、安倍晋三首相、インドのモディ首相、米国のティラーソン国務長官。右下画面の映像は、あいさつするフィリピンのドゥテルテ大統領=14日午後、マニラ、岩下毅撮影
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と日米中ロなど18カ国による東アジアサミットが14日、フィリピンのマニラで開かれた。関係者によると、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への懸念や、南シナ海問題をめぐる発言が相次いだ。トランプ米大統領は直前に帰国の途に就いて会議を欠席し、代わりにティラーソン国務長官が参加した。
アジア重視姿勢、中国を意識 トランプ氏、東アジアサミット初参加へ
関係者によると、ほとんどの首脳が北朝鮮による核兵器や弾道ミサイル開発の問題を取り上げ、国連安全保障理事会の決議違反だと批判。北朝鮮に決議の順守を求める声が相次いだ。
また、中国が実効支配を進める南シナ海問題についても、多くの国が「航行の自由」の確保の重要性などを指摘。複数の国が最近の情勢に懸念を示した。
終了後に発表される議長声明案は、北朝鮮による核・化学兵器などの大量破壊兵器や弾道ミサイル技術の開発を非難。北朝鮮に核・弾道ミサイル計画の放棄を求めている。さらに「拉致問題を含む国際社会の人道上の懸念」に取り組む重要性を強調している。
中国とASEANの一部加盟国が領有権を争う南シナ海問題については、声明案は空欄で、最終調整が続いているとみられる。13日のASEAN首脳会議の議長声明案には、中国を念頭においた「懸念」という表現がなかったが、正式な声明は14日夜現在、発表されておらず、こちらも最終調整中とみられる。
トランプ氏は、中国が台頭する東南アジアへの積極関与を打ち出すため、東アジアサミットへの出席を表明していた。欠席は会議の開始が予定より約2時間遅れたためだ。トランプ氏は帰国前に記者団に対し、今回の歴訪が「極めて成功した」と成果を強調したが、トランプ氏の欠席に関係国からは不満の声も出ている。(マニラ=鈴木暁子、峯村健司)