当事者の高校生が、セーラー服を着ることに苦しんだ中学時代を思い出して描いたイラスト
心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒が、学校の制服を着ることに強いストレスを感じて、不登校になるケースが少なくない。「スラックスかスカートか、選べるようになれば」。「そもそも制服って必要なのか」。福岡市内で10月にあったシンポジウムでは、性的少数者の当事者や弁護士らが制服のあり方について議論した。
シンポジウム「LGBTと制服」は、子どもの権利保護の観点から制服について問題提起してきた福岡県弁護士会が主催。当事者や教員、制服メーカーの社員ら180人が参加した。
中心となって企画した佐川民弁護士(43)は昨年あった弁護士会の研修で、「周囲に理解者がいない」など性的少数者の置かれている状況を知った。今年6月には、福岡市の養護教員らが「福岡市の制服を考える会」を結成。トランスジェンダーの子どもにより大きな負荷がかかっていることを知り、抱える困難や課題を明らかにする必要があると考えた。
「自分が思っている性(性自認)と違う性の服を強制されるのはしんどい。性自認に沿った生活ができることが重要だ」。多様な性の子どもを支援する団体「FRENS」(福岡市)の石崎杏理代表(33)は、こう語った。
自身もトランスジェンダー。性別などに悩む子どもの日々を「小石がたくさん落ちている道を裸足で歩いているイメージ」と言い、「この瞬間も悩み、学校に行けない子がいる。制服問題は、喫緊の課題」と訴えた。
その上で「学ランとセーラー服は男女差が大きい。当事者にとっても学校にとっても変更のハードルが高い」と指摘。制服を続けるのであれば、ブレザーで、スラックスかスカート、ネクタイかリボンかを生徒が選べるようにするべきだと提案した。「カミングアウトができない状況の子もおり、『選べる』環境は大事。教育を受ける権利が服で制限されてはならない」
福岡県那珂川町の私立福岡女子…