京都市バスの男性運転手(33)が10月に2度、足の不自由な女性客が転倒したことを知りながら、助けずにそのまま走り続けていたことがわかった。さらに下車する際、「毎回こけますね」と声をかけていた。いずれも市交通局が明らかにした。市は不適切な対応だったとして女性に謝罪し、男性を運転業務から外した。今後、処分する方針。女性にけがはなかった。
市交通局によると、三条京阪前行きのバスに今出川大宮バス停(京都市上京区)から乗ってきた中年女性が10月11日、発車直後に転倒。運転手は転倒に気づいたが、停車して声をかけることなく走り続けた。次のバス停で止まった際、別の乗客に支えられて立ち上がったが、発車したときに再び転んだ。運転手はそのまま走り続け、乗客が助け起こした。
女性の乗車は約7分間。下車するときに運転手は「毎回こけますね」と声をかけたという。女性は対応を不満に思い、府警に相談。府警から連絡を受けた市交通局が、ドライブレコーダーを確かめて問題を把握した。
運転手は交通局の聞き取りに、「よく転ぶ客がいると運転手仲間から聞いていて、走行を続けても問題ないと勝手に思い込んでしまった」と説明。失言については「たびたび転ばれると迷惑だなという思いから発言してしまった。大変申し訳ない」と話したという。
交通局運輸課は「すぐに停車して女性の安全を確かめるべきで、発言も不適切だった。厳正に対処したい」としている。(佐藤秀男)