口永良部島住民らと懇談する天皇、皇后両陛下=16日午後2時9分、鹿児島県屋久島町安房の屋久島町総合センター、代表撮影
天皇、皇后両陛下は16日、鹿児島県の屋久島を訪れ、一昨年の爆発的噴火で一時全島避難をした口永良部島の住民と懇談した。
懇談は、口永良部島の代表5人が屋久島を訪れ、実現した。噴火当時、住民に避難を呼び掛けたという畠(はたけ)喜人(よしと)さん(60)が「避難中に仕事を失った人もいるが、全国から支援をいただいたことは忘れないようにしています」と伝えると、天皇陛下は「大変でしたね」と気遣った。
当時2歳と4歳だった娘を連れて屋久島に一時避難した寺田仁奈(にな)さん(36)は、皇后さまから「お子さま方への影響はどうでしたか」と聞かれ、「長女は島に戻りたいと言っていたので帰れて喜んでいます」と答えた。皇后さまは「よかった。今はすっかり落ち着かれましたか」と話した。
また、住民らが噴火当日に避難を完了したことについて皇后さまが「よく短い時間で全員避難されましたね」と感心すると、同席した荒木耕治屋久島町長が「島の人は火山と共に暮らし、しょっちゅう訓練をしていました」と話した。
天皇陛下は「普段の訓練が非常に大事だと感じられたでしょうね」と深くうなずき、高齢者の避難生活について「体を壊されることはありませんでしたか」などと気に掛けていた。
懇談会場前には、ほかにも口永良部島から島民約50人がフェリーで訪れ、両陛下を歓迎した。
噴火は2015年5月に発生。島民ら137人は海上保安庁のヘリや町営のフェリーなどでその日のうちに屋久島へ避難し、16年10月に全ての避難指示が解除された。(中田絢子)