至学館大レスリング部のセレクション合格者を発表をする栄和人監督(右)たち
レスリング経験不問、他競技からの転向OK――。吉田沙保里や伊調馨が輩出した女子レスリングの名門・至学館大(愛知)が、2020年東京五輪に向けて日本の選手層が薄い重量級の選手セレクションを実施し、19日、合格者を発表した。6人の参加者から最終的に合格したのは……。
晴れて吉田沙保里副学長から、入部許可証を手渡されたのは、大阪女学院高3年の西涼帆(すずほ)(18)。小、中学生の時は軟式野球で男子とともに練習し、高校はソフトボール部で中軸を担う遊撃手だった。
「負けず嫌いの性格を生かしていく。レスリングはやったことがないので不安だけど頑張りたい」
応募のきっかけは、選手募集の新聞記事を祖母が見つけたこと。小学生のころはわんぱく相撲大会に出場し、強い相手にレスリング経験者がいたことから興味を持っていたという。書類選考を経て、10月にあった体力測定などの選考会には西も含めて6人が参加。体の柔軟性や足の筋力などが評価されて選ばれた。
世界で圧倒的な存在感を示している日本の女子レスリングだが、最重量級は選手層が薄い。昨年のリオデジャネイロ五輪では日本女子が金4、銀1のメダルを獲得したが、渡利璃穏(りお)が本来の63キロ級から75キロ級に上げて挑んだ最重量級だけメダルを逃した。
同大の栄和人監督は8月に行った募集会見で「いまの日本は重量級が不足している。軽量級は(育成に)10年かかるが重量級は腕力、体力があれば練習内容で間に合う」と話した。身長158センチ、体重82キロの西は来春入学予定で、階級は入部後に検討していく方針だ。
「ソフトボールで五輪に出たいと思っていたけれど、これからはレスリングでめざします」と西。リオ五輪69キロ級金メダリストの土性沙羅は「重量級は選手が少なく、練習相手も限られてくる。新しい選手が入ってくるのはうれしい」と歓迎し、吉田沙保里は「他競技から来て成績を残せたらすごいと思う。頑張って欲しい」とエールを送った。(上山浩也)