愛鷹亮さん。世界のトップファイターが集まる「K―1 WORLD GP 2017 JAPAN」のポスターの前で=静岡市清水区のキックボクシングジム「力道場静岡」
キックボクシング日本ヘビー級王者の愛鷹亮さん(27)が、23日にさいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で開かれる世界的な格闘技イベント「K―1 WORLD GP 2017 JAPAN」に出場する。県警巡査からプロ格闘家に転向して3年半。静岡から世界へ、そして夢への一歩を踏み出した。
沼津市出身。静岡市の高校時代は、柔道の県大会で優勝経験もある。そのころから同市清水区のキックボクシングジムにも通い始めた。「実は子どものころからK―1に夢中だったんです。いつもテレビを見ながら筋トレしていました」
勧誘されて警察官となり、5年にわたって交番や機動隊で勤務。逮捕術の関東大会で団体優勝したこともある。「警察官の仕事は日々勉強で、やりがいがありました」。だが、K―1への思いは消えず、退職してこの世界に飛び込んだ。
多くの有力選手が東京に集まる中、愛着のある静岡を離れずに闘ってきた。昨年末、プロデビューからわずか2年半で日本タイトルを奪取。だが、国内王者でも、世界のトップファイターだけが集まるK―1のリングから出場オファーが掛かるのはまれだ。身長180センチ、体重100キロと、ヘビー級では小柄というハンディキャップもある。
それでも夢へのチャンスを自らの拳で引き寄せた。6月に都内で行われた試合では、体重120キロの相手を右ストレート一発でリングに沈める。10月には、やはり30キロ以上重い選手を相手に、同じく右ストレートで劇的な失神KO勝利を収め、国内では頭一つ抜け出した。「元警察官という経歴にも(K―1サイドから)興味を持ってもらえたんだと思います」
1990年代後半から2000…