優勝を喜ぶ福井丸岡RUCKの選手たち
チームの愛称RUCK(ラック)は、英語で「がらくた」の意味。地道な努力でフットサルの女王に輝いた。目標は世界一。日本一はその過程だ。
11月中旬に札幌市で開かれたフットサル女子の全日本選手権で初優勝した福井丸岡RUCK。主力は、2010年度のフットサル全日本少年大会で、女子だけで福井県代表になり、1次リーグで1勝を挙げた丸岡RUCKガールズの卒業生だ。
今大会を戦った15~21歳の選手は、フットサルの中学年代日本一が計4度。サッカーでも小学生の日本一、中学年代の全国4強になっている。19歳の北川夏奈と18歳の高尾茜利はフットサル日本代表で、北川はサッカーでも14歳以下日本選抜に入っていた。
クラブの名には「今はがらくたでも、磨けば光る」という願いが込められた。福井・坂井市立丸岡中学女子サッカー部のOGが集まり、1991年にクラブができたときはサッカーが中心。それが中学生までサッカーとフットサル、高校生以上はフットサルという活動に変化していったのは、全日本少年大会での快挙だけがきっかけではない。
地元には冬でも屋外でサッカーができる環境はない。高校から先、トップを目指すのは難しい。しかし小学校教員の田中悦博監督は、県外の高校へ人材を流出させることを良しとしなかった。福井から日本一になるクラブ、世界を目指すクラブを作りたかった。実力をつけた選手は地元の高校へ進み、活動はフットサル中心になっていった。
今、ほとんどの選手が県内の大学や高校などへ通う。ユニホームに企業名を入れる大口のスポンサーは、そこに魅力を感じている。福井銀行の担当者は「地元の女の子たちが日本一を目指す姿に親近感を覚える。地元に寄り添う銀行のイメージにぴったり」。福井放送は、日常のスポーツ報道や特集番組で活躍をきめ細かく伝えている。
企業の協賛があるので、選手の遠征費の負担はほとんどない。選手の就職のことを考えてくれる会社もあるという。後に続く小学生や中学生の好成績も続いている。日本一になり、好循環になりそうだ。
継続のためのスポンサー確保はマイナー競技にとって大きな課題。「地元」と「世界」というこだわりで道を切り開いている。(忠鉢信一)