学費の前払いが滞ったことなどを理由に不法に退学処分を受けたとして、日本に留学していたスリランカ人男性(30)が佐賀県鳥栖市の日本語学校を相手取り、学生の地位の確認と約250万円の損害賠償を求め、佐賀地裁に提訴した。15日付。
訴状や男性の代理人弁護士らによると、男性は2016年9月、母国での学校説明会で「日本で勉強しながら月200時間働ける」などと説明を受け、翌月に来日して入学した。入学前に1年分の授業料など約90万円を学校に支払った。今年1月には、2年目の学費も月分割で前払いするよう求められ、運輸関連の仕事などを掛け持ちして働いた。
だが、今年3月の在留資格の更新時に、法定の就労時間が週28時間以内だと初めて知り、仕事を減らすと、4月以降には前払い分の学費が払えなくなった。6月、学費の不払いなどを理由に退学処分を受けた。さらに、学校側が就労先に「退学処分にした」「働かせないように」などと伝え、就労を妨害されたと主張している。
男性は学生の地位保全を求める仮処分を地裁に申し立て、10月に復学が認められた。だが、経済的な事情などで今月帰国した。
21日に佐賀市で記者会見した代理人弁護士は「教育機関としてあるまじき行為。きちんと学生を育てるべきだ」と話した。
学校側の代理人弁護士は「訴状が来ていないので何とも言えない」としたうえで、「学校が200時間働けると説明したことはない。学費の未納や、学費を払う能力を確かめるための書類に虚偽の記載があったことなどが退学の理由だ」などと話している。(黒田健朗、伊藤繭莉)