女子フリーで演技する宮原知子=AP
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終第6戦スケートアメリカは26日(日本時間27日)、最終日があり、宮原知子(関大)が2015年のNHK杯以来となるGP2勝目を挙げた。ショートプログラム(SP)首位の宮原は、この日の女子フリーは143・31点で合計214・03点を出した。SP2位の坂本花織(シスメックス)はフリー141・19点、合計210・59点で総合2位。ともに自己ベストを更新し、今季デビューしたシニアGPで初の表彰台に立った。
フィギュア特集 Kiss and Cry
アイスダンスはフリーがあり、村元哉中(かな)、クリス・リード組(木下ク)は155・80点で7位。マイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組(米)が合計194・25点で優勝した。
米レークプラシッドの観客や、男子のアダム・リッポン(米)が、宮原の演技が終わる頃に立ち上がって拍手を始めた。宮原は「まさか優勝するとは思っていなくて。思いも寄らない結果ですごくうれしいです」。昨季の股関節のけがからの復活を印象づける海外でのGP初優勝だった。
「蝶々夫人」の曲調が変わる演技中盤、音楽に合わせた軽やかなステップを披露した。七つのジャンプ要素は全て成功。しかも、けがをする前も取られがちだった回転不足もなかった。
復帰戦だった2週前のNHK杯、内容としては好調時にはほど遠かったが、浜田美栄コーチに「楽しかった」と告げた。浜田コーチは「去年の年末は痛くて苦しんでいたのに、今は全然痛くない状態で滑れるので試合が楽しみだと言っていた」と話す。
今大会は、NHK杯の合計191・80点を大幅に超える214・03点。けがの影響でジャンプを跳ばない時期に、一滑りで長く滑ることを意識した。今は、氷を力ずくで押さなくても進みやすくなり、フリーの演技構成点で自己最高を出した。宮原は「時間もかかり、色んな経験もしたつらい時期を乗り越えることができてよかった」と話す。
五輪最終選考会を兼ねた12月下旬の全日本選手権まで、さらなる上積みを目指す。「これからどんどん点を伸ばせる」。強気な発言も飛び出した。(後藤太輔)