自民、公明両党は14日、来年度の与党税制改正大綱を正式決定する。所得税を見直して高所得者を中心に増税にするほか、「国際観光旅客税(出国税)」など二つの新税やたばこ増税が柱で、個人向けの増税が目立つ。
自民党は14日午前の税制調査会の総会で大綱案を了承した。公明党も党内手続きを進め、午後に両党合同の与党税制協議会で正式決定する。
最大の焦点だった所得税の見直しでは、会社員向けの減税措置である「給与所得控除」を縮小し、すべての納税者が受けられる「基礎控除」を拡大。子育てや介護を抱える人を除き、年収850万円を超える会社員や公務員計約230万人を増税にする一方、フリーランスや個人請負などで働く人は減税にする。
年金受給者も、不動産収入など年金以外の年間所得が1千万円を超える人や、年金収入自体が年1千万円を超える人が増税になる。いずれも2020年1月に導入し、財務省は一連の所得税改革で約900億円の税収増を見込む。
新税では、日本人を含め、日本を出国する人から1千円を徴収する国際観光旅客税を19年1月7日に導入。森林管理の財源にする「森林環境税」も創設し、24年度から住民税に上乗せして年1千円を徴収する。新税による税収は計約1千億円に上る見通しだ。
たばこ税も8年ぶりに増税する。従来の紙巻きたばこは来年10月から21年10月まで、消費増税がある19年10月を除く各年に1本あたり1円ずつ引き上げ、計3円増税する。急速に普及が進む加熱式たばこも初めて増税し、全体で2千億円超の増収を見込む。
一方、企業向けでは賃上げや国内の設備投資を促す法人減税を拡充。中小企業の事業承継を後押しする相続税や贈与税の優遇措置も盛り込んだ。(長崎潤一郎、南日慶子)