日本海の「大和堆」で違法操業する北朝鮮籍の漁船に放水する海上保安庁の巡視船(海上保安庁提供)
海上保安庁は15日、日本海の排他的経済水域(EEZ)で、今年9~11月に違法操業していた北朝鮮漁船に退去警告する様子の写真と映像を公開した。現場は男鹿半島(秋田県)の西約400キロの「大和堆(やまとたい)」という漁場。漂着が相次ぐ木造船は、これらの違法操業船が遭難した可能性がある。
海保は7月から放水銃などによる警告を始め、8月末までに約820隻をEEZから退去させたが、9月以降に再び増加したという。今年12月までに警告した北朝鮮漁船は計約1900隻に上り、約300隻に対して放水銃を使った。
公開された写真は9~11月に撮影。電光掲示板などを使い、EEZから退去するよう求める様子が写っている。北朝鮮漁船には、木造(全長10~15メートル)と鋼船(同30~40メートル)がある。夏場は木造船ばかりだったが、海が荒れる秋以降は鋼船も増えたという。
動画には、煙突に北朝鮮国旗が描かれた船や、日本の巡視船から逃げるようにEEZから退去する様子が映っている。11月下旬以降、北朝鮮漁船はほとんど見られなくなったという。
大和堆では日本漁船も操業し、日本海側の自治体や地元漁協が国に対して対応を求めていた。海保は引き続き、巡視船や航空機による警戒を続ける。
一方、海保は15日、北朝鮮籍とみられる木造船の漂流・漂着が、今月は15日正午までに30件確認され、月別で過去最多だった先月を上回ったと発表した。(伊藤嘉孝)