国連は9日、フェルトマン事務次長(政治担当)が北朝鮮を訪問中に李容浩(リヨンホ)外相らと会談し、「(関係国間の)誤算を防ぎ、軍事衝突のリスクを下げるために対話の窓口を設けることが急務である」と伝えたと発表した。
国連によると、フェルトマン氏は5~8日の日程の中で、李氏のほか朴明国(パクミョングク)外務次官と朝鮮半島情勢について意見交換。現状は「今日の世界で最も緊迫し、危ない安全保障問題になっている」との認識で一致した。国連の発表は、この認識が一致した点をのぞき、北朝鮮側の反応や要求には触れていない。
フェルトマン氏は、国連安全保障理事会の全ての関連決議の完全な履行を北朝鮮に求め、朝鮮半島問題には「誠実な対話を通じた外交的な解決しかありえない」と伝えた。また、国際社会は、緊張の高まりに危機感を募らせ、平和的な解決の達成を望んでいることも強調したという。
フェルトマン氏は現地に駐在する国連職員や外交団と面会したほか、食品工場や乳がん関連の機関、小児科病院など、国連の関連施設を訪れた。
一方、北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、フェルトマン氏の訪朝に関連し、北朝鮮と国連の間で「様々なレベルでの往来を通じた意思疎通」を定例化することで合意したと報じた。同通信によると、李氏側は、緊張の原因は「全面的に米国の敵視政策と核による威嚇にある」とフェルトマン氏に指摘したという。(ニューヨーク=金成隆一)