ノーベル平和賞授賞式があったノルウェー・オスロからの帰国会見に臨む(右から)日本被団協の藤森俊希事務局次長、田中熙巳代表委員、ICAN国際運営委員の川崎哲さん。左端は日本被団協の和田征子事務局次長=15日午後2時40分、東京都渋谷区、太田航撮影
ノルウェー・オスロであった国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))へのノーベル平和賞授賞式に出席したICAN国際運営委員の川崎哲(あきら)さん(49)らが帰国し、15日に都内で会見した。「広島・長崎を知る日本が世界に核兵器の非人道性を発信していかなくてはならない」と改めて訴えた。
特集:ノーベル平和賞にICAN
10日の授賞式には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)と藤森俊希(としき)事務局次長(73)も招待された。また、広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さん(85)が被爆者として初めて受賞講演をした。川崎さんは「被爆者が中心にいる式になった」と評価。現地での被爆資料の展示や被爆ピアノの演奏などの催しでも「広島・長崎の声を届けられた」と振り返り、今後、国内外で被爆者の証言活動にさらに活発に取り組む方針を説明した。
田中さんは「核兵器がいかに残忍か一番知っているのは被爆者。命がある限り多くの人に体験を伝えていくことが大事だ」と強調。ICANが国連での採択に貢献した核兵器禁止条約にすべての国の参加を求める「ヒバクシャ国際署名」の活動などを引き続き進める姿勢を示した。藤森さんは「17年が核兵器廃絶の大きなステップだったと今後言えるように努めたい」と述べた。
会見には、11月にバチカンであった核軍縮のシンポジウムに招かれ、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王と面会した日本被団協の和田征子(まさこ)事務局次長(74)も同席。取材に対し、「核禁条約の署名、批准に向け、日本でも行動に移せるよう、平和賞受賞をきっかけに訴えを強めたい」と話した。(太田航)