甲子園ボウルでパスを投げる関学QB西野=加藤諒撮影
1年前は2軍の選手だった。それが、名門のエースQBになった。
17日に阪神甲子園球場であったアメリカンフットボールの全日本大学選手権決勝「甲子園ボウル」。関西学院大のQB西野航輝(3年、大阪・箕面自由学園)は、2連覇をかけたチームの攻撃を率いた。昨年は出場すらしていない晴れ舞台。大成長の1年には、二つの「覚悟」があった。
勉強に本腰、私生活の見直しが成長の契機に
西野は勉強から逃げていた。スポーツ推薦で関学大に入学。「正直、あまり授業に出ず、テストもなんとなく受けてただけです」。自業自得だが単位は取れない。アメフトでは試合に出られない。今春までは悶々(もんもん)とした日々を過ごした。
関学大アメフト部には単位数と試合出場に関してのルールがある。4年間で卒業できる単位数を基準にして、一定期間内に取得する単位数が決まる。それに満たない選手にはユニホームを与えない。スポーツ推薦入学者も例外ではない。鳥内秀晃監督は「フットボールだけやっとったらええんちゃうねん」と言い、このルールを管理運用している野原亮一コーチは「学生としての本分を忘れて、スポーツを言い訳にしていたらアカン」と話している。
西野は昨年まで、このルールにひっかかり、ユニホームを着られない試合があった。そんな環境に文句ばかり言って、腐りかけたこともあった。
今年1月3日のライスボウルで富士通に敗れ、当時のエースQBが引退。西野は3年生になり、その座を同期の光藤(みつどう)航哉(京都・同志社国際)らと争うはずだったが、QBではなくRBなどで練習し、エースQBの座を争うチャンスすら与えられなかった。
「試合に出るために、まずは単位を取ろうと決めました」。勉強と向き合い、サボりがちだった授業にも出た。大学生として当たり前のことかもしれないが、西野にとっては覚悟の1歩。攻撃を指揮する大村和輝アシスタントヘッドコーチに「私生活をちゃんとしないとツキは回ってこない。そこが乱れてるヤツは無理や」と言われ、大学内のゴミ拾いまでやった。
意識改革がいい結果につながっ…