東京五輪関連経費の内訳
2020年東京五輪・パラリンピックの総経費1兆3850億円をいかに減らすか。大会組織委員会、東京都などは協議を続け、今週中にも改訂版の予算案を発表する。大会の準備状況を確認する国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のコーツ委員長は「大会開催までに10億ドル(約1100億円)の削減が可能」と主張しているが、複数の大会関係者によると、現状は300億円程度の削減幅で調整しているという。
「さらなるコスト削減に努めたい」。組織委の森喜朗会長は13日、調整委員会との3日間の会合を終え、こう述べた。
20日には組織委の理事会、22日には国の来年度予算の閣議決定があり、都は詰めの協議を続けている。仮設施設などの経費(4900億円)をどこまで削れるかが、今回の焦点だ。
組織委はIOCに対し、10カ所以上の競技会場で仮設スタンドの座席数を減らしたり、リースするテントなどの資材を海外から調達し、単価を2~4割減らしたりすることなどを提案。仮設会場の更衣室や関係者向けラウンジなどを統一、駐車場の面積を減らすなどして整備費を抑えることを検討している。
調整委員会との会合後、組織委幹部は「コーツ委員長から10億ドルという具体的な削減額は出なかった」とした上で、「我々もすでに削ってきた項目もあり、(10億ドルの削減は)簡単ではない」と話した。
大会経費を巡っては、昨年末、全体で1兆6千億~1兆8千億円とする予算案を組織委が公表。今年5月には1兆3850億円(予備費1千億~3千億円を除く)に圧縮し、組織委と都が6千億円ずつ、国が新国立競技場とパラリンピック経費の1500億円を負担することで合意。残る350億円分は宝くじで賄うことになった。
それでも、IOCは「まだ高い」と指摘した。コーツ委員長が「10億ドル規模の削減が可能」と表明したのが今年10月。大会経費の削減を再三訴えてきた東京都の小池百合子知事でさえ、12月の都議会で「目指す方向は同じだが、競技種目の増加などコスト増に影響する要素もある。経費縮減は容易な課題ではない」と答弁。IOCが求める圧縮は困難と見ている。(前田大輔、野村周平)
五輪経費をめぐる動き
2016年12月
大会組織委員会が最大1兆6千億~1兆8千億円とする試算を初めて公表。都や国などに1兆円以上の負担を要請
17年5月
開催経費1兆3850億円(予備費を除く)の分担について、組織委、都、国の役割分担で大枠合意。残る350億円の負担を都外自治体に求めたが、反発
17年9月
小池百合子・東京都知事が負担が決まっていなかった分について宝くじの収益で賄うと表明
17年10月
組織委が国際オリンピック委員会(IOC)に、25項目の経費の削減案を提示。IOCのコーツ調整委員長は「10億ドル(約1100億円)規模の削減が可能」と表明