ふるさと納税などをした場合、高校生がいる世帯への国の就学支援金制度や都道府県の授業料補助が、本来より多く支給される仕組みになっている問題で、文部科学省の有識者会議は21日、対象世帯を判定する基準の見直しを提言した。
国の就学支援金は公立・私立を問わず、高校生がいる年収910万円未満(目安)の世帯が対象で、年間11万8800~29万7千円を支給する。さらに、多くの都道府県は独自の補助制度で上乗せしている。
これらの制度では、年収が少ないほど補助額が増える仕組みが一般的。国や都道府県は年収を直接把握できないため、市町村の課税証明書に記される、前年の所得に応じた住民税の課税額「所得割額」をもとに世帯年収を推定している。
しかし、所得割額はふるさと納税などの控除額を差し引いた金額。控除額が増えれば所得割額が減り、見かけ上の年収が減る。例えば大阪府の補助制度では、年収980万円の世帯は本来なら対象外だが、約15万円のふるさと納税をすると見かけ上の年収が減り、38万円の補助が受けられる。
このため、この日に示された有識者会議の骨子案では、控除額を差し引く前の「課税所得金額」に基準を見直す方向性を示した。都道府県に意見を聞いた上で、今年度末にも見直しの報告書をまとめる予定だ。(池尻和生)