金融緩和の「副作用」を巡る黒田総裁の発言
日本銀行は21日、年内最後の金融政策決定会合で、政策の「現状維持」を決めた。超低金利の長期化で銀行経営の悪化など金融緩和の「副作用」は膨らんでおり、最近の黒田東彦(はるひこ)総裁の言及も話題になった。しかしこの日は、副作用を理由に政策を見直す考えがないことを強調。「物価上昇率2%」の目標達成が遠い中、緩和の「出口」はなお見通せない。
「この1年、わが国の経済は着実に改善した。経済の回復は2018年も続いていく」。黒田総裁は記者会見で自信を示した。3回も政策変更をした16年とは対照的に、今年は「現状維持」の1年だった。海外経済の改善で輸出や生産が伸び、企業収益は過去最高水準だ。有効求人倍率が1970年代以来の高さで人手不足感も強い。日銀が動く必要性は出ていない。
ただ物価上昇率はゼロ%台で、目標の2%は遠い。日銀は人手不足もあり、企業は人件費を上げざるを得なくなり、近いうちに賃金上昇と消費拡大で物価も上がるとみる。頼みの綱は、高収益の企業による来春闘での賃上げだ。黒田総裁は「賃金上昇圧力は確実に高まっている」とし、来春闘について「政府も賃金アップを後押しする姿勢を示している。経済環境を生かして労使で前向きな取り組みが広がることを期待したい」と語った。
■政策修正論、打…