北朝鮮から来た木造船の乗組員が、北海道松前町沖の松前小島で発電機などを盗んだとされる事件で、函館地検は28日、自称北朝鮮国籍の船長カン・ミョンハク容疑者(45)を窃盗罪で起訴し、発表した。地検は認否を明らかにしていない。他の乗組員は「従属的な立場で関与の程度は低い」とし、不起訴処分(起訴猶予)とした。
「逮捕、逮捕!」叫ぶ声 北朝鮮籍の乗組員、激しく抵抗
発電機の内部の装置狙ったか 窃盗容疑の木造船乗組員
起訴状によると、カン容疑者は他の乗組員と共謀し、11月10日から28日までの間、島の施設などから発電機やテレビ、灯台の電源用ソーラーパネルなど計39点(計約564万円相当)を盗んだとされる。
乗組員計10人のうち、カン容疑者ら3人が今月9日、発電機1台を盗んだとして窃盗容疑で逮捕され、27日には他の備品も盗んだとして3人が同容疑で追送検、6人が書類送検されていた。
乗組員は日本海でのイカ漁中にかじが故障し島に避難したと説明。地検は「悪天候や船の不具合など偶発的な経緯があった。船長のカン容疑者が乗組員に盗みを指示した」などとした。
札幌入国管理局は起訴された船長以外の乗組員9人について、退去強制に向けた手続きを進めている。(布田一樹)