学校法人森友学園(大阪市)をめぐる一連の問題で、大阪地検特捜部は31日、国有地の大幅値引き売却に対する背任や決裁文書を改ざんした虚偽有印公文書作成などの容疑について、財務省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏(60)ら関係者全員を不起訴処分とした。
財務省は、国有地の大幅な値引き売却が明るみに出た2017年2月以降、取引に関する14件の決裁文書を改ざんしたと認め、佐川氏の国会答弁との整合性をとることなどが目的だったと説明している。佐川氏は答弁で、学園の特別扱いなどを否定。決裁文書からは安倍晋三首相の妻昭恵氏や政治家の名前、「本件の特殊性」との文言などが削除された。
一方、大阪府豊中市の国有地(8770平方メートル)は16年6月、地中ごみの撤去費8億1900万円などが更地の鑑定価格から差し引かれ、小学校用地として1億3400万円で学園に売却された。不当な値引きで故意に国に損害を与えたとする背任容疑で、売却交渉時の理財局長・迫田英典氏(58)ら当時の財務省職員らが告発されていた。
学園との交渉記録を廃棄したとする公用文書等毀棄(きき)や証拠隠滅などの容疑でも当時の同省幹部らは告発されていた。
告発していた市民団体などは今回の不起訴処分を受け、検察審査会に審査を申し立てるとみられる。