刊行に先立ち、日本聖書協会が公開している翻訳のパイロット版。一般読者から寄せられた意見を参考にしている
キリスト教の信者にとって、聖書は「神の言葉」。神の御心(みこころ)を伝えていると信じられている。古代につづられた言葉は時空を超え、時代に合った日本語をめざして翻訳されてきた。今年には、新しい訳の聖書が刊行される。どう変わるのだろうか。
新訳を進めているのは一般財団法人日本聖書協会。カトリックとプロテスタント両教会の計18教派・団体が翻訳に関わる。両教会の対話は1960年代から本格化し、87年に初めての「新共同訳」が実現した。日本の信者の約8割が手にする新共同訳は、分かりやすさを重んじた。例えば旧約聖書「詩編」23編にこういう文章がある。
主は羊飼い、わたしには何も
欠けることがない。
主はわたしを青草の原に休ま
せ
憩いの水のほとりに伴い
魂を生き返らせてくださる。
主は御名(みな)にふさわしく
わたしを正しい道に導か
れる。
それが、来年12月刊行予定の「聖書協会共同訳」では次のように変わる。
主は私の羊飼い
私は乏しいことがない。
主は私を緑の野に伏させ
憩いの汀(みぎわ)に伴われる。
主は私の魂を生き返らせ
御名にふさわしく、正しい道
へと導かれる。
「水のほとり」が「汀」に変わるなど、難しくなったようにも見える。これは「より格調高い日本語」をめざし、教会での礼拝も意識したためという。
2010年から始まった新翻訳…