中国商務省は5日夜、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の昨年12月の制裁決議に基づき、北朝鮮向け原油の輸出を制限すると発表した。6日から実施する。トランプ米大統領は中国から北朝鮮への石油密輸に懸念を示している。今回の発表には、国際社会の疑念を払拭(ふっしょく)する狙いが込められているとみられる。
安保理は昨年9月の制裁決議で北朝鮮向け原油の輸出を現行水準とする上限を定めたが、中国は実行を表明していなかった。同12月の決議で定められた「年400万バレルか52万5千トン」の上限を超えないよう輸出を制限する。
ほかにも制裁決議に基づき、石油精製品の輸出制限を強め、鉄鋼や工業機械の輸出を禁止する。野菜や果物など農産品や塩、木材などの輸入も禁じる。
中国は北朝鮮にとって最大の石油供給国だが、北朝鮮の体制が不安定になるのを恐れ、石油輸出の制限に慎重だった。ただ昨年12月の制裁決議では、原油を含む石油全般の供給制限を明示する制裁に賛成した。
国連制裁決議に反する北朝鮮への石油密輸については、600トンの石油精製品を密輸していたとされる香港籍船を韓国政府が拿捕(だほ)。中国船やロシア船などが公海上で北朝鮮船へ密輸していたとも報じられ、トランプ氏はツイッターで中国への失望を表明した。これに対して中国外務省は関与を否定。「一貫して、国連安保理決議を全面的に厳しく実行している」と強調していた。(北京=福田直之)