赤間晃治さんと葛飾北斎の浮世絵トイレ。35万~40万円で販売予定=仙台市泉区
白い便器をキャンバスにして、トイレをアートな空間に。仙台市泉区の水道工事会社が、むすび丸や浮世絵を便器にあしらい、利用者をあっと驚かせる「アートレッタ」を開発した。世界に名だたる日本のトイレに新たな価値を加え、「オモテナシ」に挑む。
仙台空港アクセス線の仙台空港駅。改札内にあるトイレの個室に入ると、県の観光PRキャラクター「むすび丸」が出迎えてくれる。便器のふたに、絵柄の入ったシートが貼られているのだ。鉄道会社担当者によると「トイレだけを見に来るお客様もいる」。3年前の導入後、きれいにトイレを使ってもらえるようにもなったという。
手がけたのは社員7人の「泰光(たいこう)住建」。アートレッタ誕生のきっかけは、東日本大震災だった。
同社は震災直後から、水道復旧工事に駆けずり回った。水洗トイレが使えるようになると、避難所で過ごす人たちは大喜び。だが、3日もすると状況は一変した。
床や便器に残る排泄(はいせつ)物に異臭。「昔の公衆トイレのようになっていた」と、社長の赤間晃治さん(39)は振り返る。「何とかして」と言われても、衛生管理やマナーの問題は手の打ちようがない。「トイレに入りたくないから」と、避難所を去る人も多かった。
トイレがあって当たり前の日常…