事故発生の時刻に合わせて事故現場で黙禱(もくとう)する犠牲者の友人たち=15日午前1時55分、長野県軽井沢町、恵原弘太郎撮影
長野県軽井沢町で大学生13人、運転手2人が死亡し、26人が重軽傷を負ったスキーツアーバス転落事故から15日で丸2年。発生時刻の午前1時50分過ぎ、犠牲者の友人ら11人が事故現場を訪れ、祈りを捧げた。
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このうち、亡くなった首都大学東京の田原寛さん(当時19)と共にバスに乗っていた同大の都市教養学部4年生の4人は、零下に冷え込んだ事故現場で献花して手を合わせ、今春、一緒に卒業するはずだった田原さんをしのんだ。
2016年1月15日、田原さんと5人でスキーに向かう途中だった。事故が起き、それぞれ車外に投げ出されたり、バス内で身動きがとれなくなったりした。救助された後、互いの安否を確かめ合うと、田原さんだけ別の場所に運ばれていた。声をかけたが、返事はなかった。
約3カ月入院したという友人の佐藤航さん(22)は、田原さんについて「ソーシャルワーカーという夢にまじめに取り組んでいた」と惜しんだ。友人の松島凌平さん(22)は「これからも事故の悲惨さを伝えたいし、亡くなった人の分まで悔いなく生きたい」と語った。
また、この日の午前3時過ぎ、この事故で、運転手=事故で死亡=への適切な指導を怠ったなどとして、業務上過失致死傷の疑いで書類送検されているバス運行会社「イーエスピー」の高橋美作社長(56)も事故現場で、花と折り鶴を捧げて、手を合わせた後、「心よりおわび申し上げます」と陳謝した。
秋本真利・国土交通政務官も午前11時前、国交省幹部らと事故現場を訪れ、献花し、犠牲者に祈りを捧げた。秋本氏は「前途ある若者の命が奪われた、この事故が、国や業界などに突きつけた課題の重さに、改めて思いをいたした。このような悲惨な事故を二度と起こさぬよう対策を着実に実施してきたが、今後も手を緩めず取り組みたい。決意を新たに、安全安心の確保に万全を期して参りたい」と述べた。(大野択生、土屋弘)