2月9日に韓国で開幕する平昌冬季五輪に、安倍晋三首相が出席すべきか否か――。韓国が慰安婦問題をめぐる日韓合意について新方針を示したことに反発する首相官邸は出席に否定的だが、与党は出席できる環境を整えようと国会日程の調整に乗り出し、すれ違いが生じている。
17日会談した自民、公明両党の幹事長と国会対策委員長は、日韓関係への配慮から「隣国で行われるスポーツの祭典。(首相は)行ったほうがいい」との認識を共有した。2月上旬は新年度当初予算案の衆院審議の最中だが、9日の開会式出席に向けて国会日程を調整することで一致した。自民の森山裕国対委員長は「政府の決定に国会日程が邪魔にならないようにしたい」と記者団に語った。
当の首相は15日、外遊先で五輪に出席するかどうかを聞かれ、「国会日程を見ながら検討していきたい。一日も早い予算案の成立こそ最大の経済対策なのでしっかり対応しなければいけない」と明言しなかった。
首相官邸は国会日程を理由に「慎重に判断する」としているが、内部では韓国の新方針への反発から出席には否定的な意見が大勢だ。開会式には鈴木俊一五輪相と林芳正文部科学相が出席する方向で調整しており、官邸幹部は「閣僚が2人行けば十分。首相の出席はあり得ない」と話す。
ただ、自民の二階俊博幹事長は「慰安婦問題と平和の祭典は別問題だ」と周囲に語り、「国会日程」というハードルもなくなりつつある。菅義偉官房長官は17日の記者会見で、「国会日程はまだこれから。直前にならないとなかなか難しい」とだけ述べた。