スポーツ選手や芸能タレントなどフリーランスの働き方をする人に対して、不当な移籍制限などを一方的に課すことは、独占禁止法違反にあたる恐れがあると、公正取引委員会の有識者会議が示す方針を固めたことがわかった。公取委は2月にも結論を公表し、適切な人材獲得競争を促す。
IT分野を含めて近年、個人事業主として雇い主の企業と契約を交わすフリーランスの働き方が増えている。ただ、こうした契約は、労働法と独禁法が適用されにくい空白地帯となるケースが多く、これまで十分な権利保障がなされてこなかった。
スポーツ選手が他チームに移籍する際や、芸能タレントが所属の事務所を辞める際に、他の所属先と契約を結べないことなどが問題になることがあった。
公取委は、契約によってこうした制約が生じることについて、独禁法違反(優越的地位の乱用)などにあたるかを検討するため、昨年に有識者会議を立ち上げた。各業界に書面調査やヒアリングを重ねてきた。
有識者会議はこれまでの議論の結果、古くからのこうした契約慣行を問題視。一方で、スポーツのチーム側や芸能事務所が育成にかけた費用を回収することは正当化できるとして、業界内でどういった補償が適切か検討するよう求める方針だ。
芸能事務所からの独立や移籍をめぐっては、最近ではNHKドラマ「あまちゃん」で人気となったのんさんが独立の際にトラブルとなったケースなどがある。(矢島大輔)