「今年の曲リストの中でランキングトップの曲とは?」や「あなたの今後10年の人生計画は?」、「異性にふられたことはある?」など、匿名で質問し、そうした質問を受け取れるサービス「質問箱」が最近、若者の間で人気になっている。好奇心を満たしたり、疑問を解消したりできる「匿名質問箱」が今、インターネット上で全く新しい交流スタイルを作り出している。
リンクを投稿さえすれば、匿名で質問が寄せられる仕組み
「匿名質問箱」の利用方法は簡単で、登録を済ませると、自分のウェブページを微信(WeChat)のモーメンツや微博(ウェイボー)などのSNSに投稿することができる。そのページには、「匿名で私に質問してね」などのメッセージが表示され、同級生や友人らが匿名で質問することができる。恋愛や勉強、キャリアプラン、夢などに関する質問など、ありとあらゆることを質問することができる。
ネットユーザー「小仙女」は、質問箱のリンクを1日の間にモーメンツに3度投稿した。「『みんなの私に対する質問はどんな分野に集中しているのだろう?』、『みんなの目に私はどのように映っているのだろう?』という気持ちから、是非質問してもらいたいという気持ちが確かにある」と話す。
「知らない人から寄せられる感心」が人気になる理由は?
公開されている統計によると、ある「匿名質問箱」のミニプログラムやアプリの利用者は2年間で約200万人となった。そこでは、大勢の若者が、普段は表に出せない思いや秘密を吐き出したり、「知らない人から寄せられる感心」を感じたりしている。
質問箱には、若者の愛と悲しみが寄せられている。「知り合いには面と向かって言えない事もたくさんある。でも、匿名なら話は違う」というわけだ。
「相手が誰か分からないというのが、匿名質問箱の一番おもしろい所。もしかすると、ずっと連絡していなかった友人かもしれないし、全然知らない人かもしれない。質問箱を通して、交流し、繋がるというのは、とても不思議な感じがする」とする意見もある。
一部の有名人にとっても、「匿名質問箱」は、ファンとコミュニケーションを取る新たなチャンネルとなっている。ある有名なオンライン作家は、「ファンから匿名質問箱に寄せられる質問に、定期的に答える」と話す。
「匿名で質問」は「コミュ障」が原因?
好奇心を満たし、率直に交流できるほか、「安全な距離」を保つことができるというのが、匿名質問箱が人気になっている理由の一つだ。それはコミュニケーション障害に悩む多くの若者のニーズに応えているともいえる。
あるネットユーザーは、「『匿名質問箱』は、なかなか言い出せないことを話す機会を作ってくれている。以前にQQのグループチャットで、同級生と言い合いになった。でも、誰も『ごめんなさい』とは言い出せなかった。その後、匿名質問箱を通して、質問したり、答えたりし合い、仲直りできた」とする。
ただ、そのような「安全な距離」について、専門家は必ずしも楽観視してはいない。
東南大学附属中大病院の心理精神科の袁勇貴主任は、「『匿名質問箱』を使うと、匿名での交流に依存するようになりがちだ。顔と顔を合わせて解決できる問題でも、『匿名』という方法を使うというのは、自信のなさの表れであるほか、双方がしっかりとした信頼関係を築いておらず、互いに理解してもらえないことを恐れていることの表れでもある。これが、若者が自分に『コミュニケーション障害』というレッテルを貼る根本的な原因の一つだ。『付き合い』というのは、やっていくうちに上手くなっていくもので、ずっとインターネットに依存し、実際に顔と顔を合わせて交流することがなければ、交流の能力が退化してしまう。そのため、知り合い同士で、『匿名』制を使うというのはゲームにとどめるべきで、それに依存してはならない。勇気を出して一歩踏み出し、同級生や友人と、健全で安全な社会関係を築き、交流をたくさんしてそのスキルを磨くことで、本当の意味での『安全な距離』を保つことができる。人と人というのは友好的に付き合えるものだと信じるべきだろう」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年1月7日