米ワシントンの連邦議会で30日夜(日本時間31日午前)、一般教書演説をするトランプ大統領=AFP時事
トランプ米大統領は30日夜(日本時間31日午前)、内政・外交の基本方針を示す一般教書演説を米連邦議会で初めて行った。今年11月にある議会の中間選挙を意識し、好調な経済を全面に押し出して、税制改革など実績をアピール。国民や議会に融和を呼びかけ、大規模なインフラ投資や不法移民対策など、新たな目玉政策の実現を目指す。
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ホワイトハウスによると、トランプ氏は演説で「我々は一緒に、安全で強い、誇るべき米国を築いている」と力説。連日のように史上最高値を記録する株式市場や、過去18年間で最低となった失業率など、好調な経済を訴える。
自身が成し遂げた大減税は「中間層や中小企業にとって、とてつもない助けになった」と主張。ラストベルト(さびついた工業地帯)のオハイオ州から溶接工の男性を議場に招き、減税のおかげで自宅を持ち、娘の教育貯金もできたことを紹介する。
また、通商に関しては、公正で互恵的な二国間協定を重視。「何十年も我々の繁栄を犠牲にし、企業や雇用、富を外国に追いやっていた不公平な貿易をついに終わらせる」と訴える。
演説は全米にテレビ中継されるため、より「融和」モードに力点を置く。トランプ氏はこれまで、排外的、差別的な発言を繰り返し、社会の分断を助長させたと批判を浴びている。これに対し、演説では「昨年、市民と政府の間に信頼の絆を取り戻そうと努めてきた」と主張。「我々はみな、共にあり、一つのチーム、一つの国民、一つの米国の家族だ」と融和を呼びかける。
さらに、与党・共和党と野党・民主党に対しても「安全で確かな、近代的なインフラ整備を図るため、両党が団結するよう求める」と超党派の協力を呼びかける。経済を活性化させる新たな目玉政策として、インフラ整備の実現を目指す。
移民政策では、子どもの時に親に連れられて米国に来た不法移民の若者を含む約180万人の不法移民に市民権を与える移民制度改革案を打ち出す。同時に、メキシコ国境の壁建設の予算措置や不法移民対策も実現させたい考えだ。
安全保障の分野では、最重要課題に位置付ける北朝鮮問題に言及。朝鮮半島の非核化に向けて国際社会による圧力を続ける方針を確認する。(ワシントン=土佐茂生)
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一般教書演説 米国大統領が年に1度、内政や外交、軍事など、今後1年間で重点的に取り組む政策課題を議会で説明する演説。大統領が「連邦の現状」について把握し、議会に報告するという性格がある。これに対し、トランプ大統領が昨年、就任した後に行った演説は「施政方針演説」と呼ばれる。議院内閣制を取る日本などと異なり、米国では、一般教書演説を除くと、大統領が議場に立つことはほとんどない。