台湾東部の地震で傾いたビル「雲門翠堤」では、台湾各地から集まった救助隊員が交代でビル内部に入り不明者の捜索にあたった=9日、台湾・花蓮、平賀拓哉撮影
台湾東部の花蓮県などを襲った強い地震は、9日夜までに12人の死亡が確認され、5人の安否が確認できずにいる。倒壊建物に取り残された被災者の生存率が著しく下がるとされる「72時間」が経過。日本の専門家チームも支援し、救出作業が続いた。
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花蓮市内で倒壊した4棟のうち、捜索が完了していない12階建てビル「雲門翠堤」の押しつぶされた低層部分には旅館があり、安否不明者が集中している。9日に死亡が確認されたのは香港系カナダ人夫妻2人。中国から旅行に来た家族5人が見つかっていない。
救出作業には、日本から8日に現地入りした警察・消防などの専門家チームも参加。がれきの下の生命反応を感知する機器を台湾側に提供し、使い方やデータ解析について助言した。チームの原田優団長(外務省)は「生存者を助けたいという思いで来ている。少しでも貢献したい」と述べた。
犠牲者・安否不明者のうち半数以上の計9人が中国からの旅行者だ。亡くなった余妃さん(39)は、アモイから息子や友人らと台湾旅行に来ていた。余妃さんの兄・余雲さん(43)と母親(62)は9日、救出された息子が入院する花蓮の病院に到着。余雲さんは硬い表情を崩さず報道陣に「みなさん、ありがとう」と話し、母親は泣き崩れた。
中国側の関心は高く、花蓮には国営中国中央テレビなど多くの中国メディアが取材に来ている。(花蓮=平賀拓哉、西本秀)