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奨学金破産
家計が苦しいために借りた奨学金が、結果的に親子の共倒れを招いている。経済環境の変化に加え、日本学生支援機構が「金融事業」の色合いを強めたことも背景にある。相次ぐ自己破産は、右肩上がりの時代を前提とした制度のひずみもあぶり出している。
奨学金800万円重荷「父さんごめん」 親子で自己破産
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
日本学生支援機構の遠藤勝裕理事長=東京都新宿区
破産が相次ぐ背景には何があるのか。この30年間で国立大の授業料は2・13倍の約54万円、私大は1・76倍の約88万円になった。一方で平均給与は大きく上がっていない。
卒業後も非正規雇用などで収入が安定せず、返還に苦しむ人が後を絶たない。3カ月以上の延滞者は16年度末で16万人。15年度の機構の抽出調査では、77%が「年収300万円未満」と答え、延滞が続く理由(複数回答)は「低所得」が67%で最も高かった。
大学の授業料と平均給与の推移
延滞が3カ月続くと、機構は個人信用情報機関に登録し、クレジットカードが一定期間使えなくなる。4カ月で債権回収会社による督促を開始。連絡が取れないと、自宅を訪問したり、会社に電話をかけたりすることもある。9カ月になると貸与金と利子、延滞金の一括返還を求める。