受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案をめぐり、厚生労働省は、例外的に喫煙を認める小規模飲食店の規模について、「客席100平方メートル以下」とする方針を固めた。「店舗面積150平方メートル以下(客席100平方メートル、厨房(ちゅうぼう)50平方メートル)」を軸に検討していたが、飲食店業界の要望もあり、修正した。
喫煙を認める飲食店の条件は、客席100平方メートル以下で、個人経営か資本金5千万円以下の中小企業が経営する既存飲食店となる方向だ。厚労省の推計では、対象となる飲食店はすでに禁煙の店や大手チェーンなどを除いて、最大で全体の55%ほどになるという。
厚労省は1月末、飲食店は原則禁煙とし、既存の小規模飲食店では業態に関係なく、「喫煙」「分煙」の表示をすれば喫煙を認める案を公表。客席と厨房を合わせた店舗面積150平方メートル以下を検討していた。
これに対し、飲食店などで作る「全国生活衛生同業組合中央会」が、料亭などは厨房が広く店舗面積全体で測ると不公平になるとして、基準を「客席100平方メートル以下」とするように要望。「(店舗面積150平方メートルと)実質は変わらないが、面積は小さく見えた方がいい」(厚労省幹部)との思惑もあり、見直した。
公表された案では、新規店は面積にかかわらず喫煙を認めない方針。同省によると、5年間で3割強の飲食店が入れ替わるという。「喫煙できる店は減っていく。将来に向けて対策が前進していく案だ」と説明して理解を求めている。
一方、自民党の「受動喫煙防止議員連盟」は、バー・スナック以外は店舗面積にかかわらず原則禁煙とすることを求める決議をまとめている。厚労省は調整をはかり、今国会への改正案提出を目指す。(黒田壮吉)