男子用(ネクタイとスラックス)=トンボ提供
千葉県柏市で4月に開校する市立柏の葉中学校が、性別に関係なく誰でも自由に選べる制服を導入する。「LGBT」など性的少数者にも配慮した制服で、保護者や子どもたちの意見も踏まえ、スラックスやスカートなどを自由に選べる制服の導入が決まった。
市教育委員会によると、市立中学校の多くは男子が詰め襟の学生服、女子はセーラー服という。柏の葉中は市立中で初めて男女ともブレザーを採用。ブレザーは濃紺で、グレーにチェック柄のスラックスかスカートをはき、ネクタイかリボンをつける。
「男子用」と「女子用」があり、女子用のブレザーやネクタイは細め。スラックスも女性の体形を考慮して作った。ただ、男子用と女子用のどちらを選んでもよく、スラックスかスカート、ネクタイかリボンなどの組み合わせも自由。夏はワイシャツとブラウスのほか、市立中では初めてとなるポロシャツをとり入れ、これらも自由に選べるようにした。
柏の葉中の制服については、市教委が昨年9月、入学予定者がいる市立柏の葉小学校の全学年の保護者ら約500人にアンケートしたところ、9割近くが制服は必要との回答だったという。そこで10月、同小の保護者や6年生の男女の児童2人のほか、教員、地域住民、市教委職員ら12人で構成する「制服・校内服等検討委員会」を立ち上げ、制服が必要かや、導入する場合はどのような制服にするかなどを話し合うことになった。
市教委は検討委の会合を前に、制服導入の判断材料として、性的少数者に関する資料をメンバーに配布。文部科学省が2016年4月に、性同一性障害などの児童生徒へのきめ細かな対応などを示した教職員向けの資料で、服装に配慮する内容も書かれていた。
市教委学校教育課の担当者は「検討委員会の人たちがLGBTのことをどう理解し、資料をどう見ていたのかはわからないが、LGBTについて意見があった」と話す。保護者からは「性的少数の方に配慮できる制服が望ましい」といった声が出て、LGBTなどについて口頭で説明を受けた児童からは「ネクタイなどは男女共通でできるものがいい」などの意見があったという。
性的少数者でなくても自由に選択できる制服を望む声も出された。保護者から「女性でもスカートが嫌な人がいる」「真冬にスカートは寒い。スラックスをはけたらいい」といった意見があったという。こうした意見を受け、誰でも自由に選べる制服の導入が決まり、業者には学生服などの衣料品メーカー「トンボ」が選ばれた。
柏の葉中には現時点で88人が入学予定。市教委学校教育課の担当者は「制服を選択する幅が広がり、嫌な思いをしなくてすむ。自分にあったものを選べる」と話している。(上嶋紀雄)
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LGBT レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の英語の頭文字をとった言葉で、性的少数者に含まれる。電通が2015年に約7万人を対象に実施した調査で、7・6%(約13人に1人)が該当すると答えた。