記者会見する東北大の非正規職員(奥)と支援者ら=県庁
東北大学の雇い止め問題を巡り、同大で働く有期雇用の非正規職員2人が16日、同大と里見進総長ら幹部8人を労働基準法違反の疑いで仙台労働基準監督署に告訴した。5年を超える有期雇用を認めない同大の就業規則のため、2人は3月末に雇い止めになるという。
2人はともに40代の男性事務補佐員。告訴状によると、大学側は2015~17年に就業規則を4回変更した際、同法に基づき「労働者の過半数を代表する者」から意見聴取。しかし、この代表者を選ぶ選挙に非常勤講師やアシスタントを含めておらず、変更手続きは違法だとしている。
改正労働契約法では、通算5年を超えて働く有期職員は、無期雇用への転換を要求できる。今年4月から効力を発揮するのを前に、同大は5年を超えて契約更新できないよう就業規則を変更していた。
同大は取材に「内容を承知しておらずコメントは差し控える」とした。
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「大勢が泣いている。このような脱法行為を学生に教えていいのか」
告訴した職員は会見でこう訴えた。今年1月、東京大学教職員組合の委員長ら在京大学職員組合の関係者3人が、同じ趣旨で東北大を告発しているが、今回は当事者が声を上げた。
男性は、3月末に勤続丸5年を迎える。渡された労働条件通知書には、4月以降は「更新しない」と書かれていたという。東北大出身という男性は「この大学が好きで、教育に関われることに誇りを持っていた。あきらめないで無期転換を求めたい」。(井上充昌)