米フロリダ州フォート・ローダーデールで17日、銃規制の強化を求めデモ行進をする人々=ロイター
米フロリダ州南部の高校での銃乱射事件を受け、現場近くの拠点都市フォート・ローダーデールで17日、銃規制強化を求めるデモ集会が開かれた。事件が起きた高校の生徒も参加し、トランプ大統領ら規制に消極的な政治家らに「恥を知れ」と訴えた。
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元生徒のニコラス・クルーズ容疑者(19)が半自動ライフル銃を乱射した事件では、生徒ら17人が犠牲になった。CNNテレビによると、集会で登壇した同校生徒のエマ・ゴンザレスさんは「友達と週末の予定を立てる方が銃を買うよりも難しいなんて到底理解できない」と、同州の銃規制の緩さを批判した。
米国では乱射事件のたびに規制強化を求める声が強まるが、トランプ大統領や共和党議員らに献金し、強い政治力を持つ「全米ライフル協会」(NRA)の抵抗で進んでいないのが現状だ。ゴンザレスさんが「NRAから献金を受け取っている政治家は恥を知れ」と気勢を上げると、参加者も同調した。
今回の事件では、直後から関係者が銃規制の強化を訴える姿が目立つ。14歳の娘が犠牲になった母親はCNNの取材に「なぜ学校に行って子どもが殺されなければならないのか。トランプ大統領、何とかして。行動が必要」と声を張り上げた。同校の複数の生徒らも交流サイトなどに「みんな目を覚まして。何とかしなければいけない」「これは銃の問題」「自由も大事だけど、安全は別問題だ」などと相次いで投稿している。
一方、トランプ大統領は17日、「(野党の)民主党はオバマ政権で上下両院の多数を押さえていた時になぜ銃規制の強化をしなかったのか。本当はしたくないからだ。(規制強化の訴えは)口だけだ」とツイートした。
クルーズ容疑者が危険な行動に走る兆候があったにもかかわらず、当局が見逃していたことも分かってきた。フロリダ南部の地元紙サン・センティネルによると、同容疑者は1年半ほど前に交流サイトへの投稿内容を巡り州の「子ども家庭支援局」の調査を受けたが、「危険性は低い」と判断されたという。また、連邦捜査局(FBI)は今年1月、容疑者が学校を襲う可能性があると通報を受けたにもかかわらず、捜査しなかったことを認めている。(ニューヨーク=鵜飼啓)