モテクリエイターの菅本裕子(ゆうこす)さん=東京都港区、池永牧子撮影
3月8日は、国連が定めた「国際女性デー」です。男女格差が大きいとされる日本を、次代を担う若い人たち、とりわけ女の子たちが性別にとらわれず生きることができる社会に――。SNSの総フォロワー数80万人を超える「モテクリエイター」の菅本裕子(ゆうこす)さん(23)は、「とにかく行動すれば勝ち」と語ります。
国際女性デー特集「Dear Girls」
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モテるために生きています。たくさんの男性とつきあいたいという意味ではなく、男女を問わず「いい子だね、かわいいね」と愛されたいという意味です。
でもぶりっ子は嫌われるから、中学時代はメチャクチャ嫌われました。悪口も言われたい放題だったけど、悪いことをしているとは思っていなかったから、言い返すことはありませんでした。「こういう言い方は傷つくんだ」と気づけたことで、「経験値がレベル1上がった!」と思うようにしていました。
高校入学後も、アイドルになったけど挫折して、引退後は福岡の実家に引きこもり、ニート生活を送っていました。死にたい、消えてしまいたいと思ったこともあります。
それでも、SNSで発信することだけはやめませんでした。というか、それしかすることがなかったんですよね。だけど、仕事もしていないのに充実ぶりをアピールしても、誰もついてきてくれない。アイドル時代から、「アンチを増やさないように」と気を使ってばかりだったから、他人に好かれようと行動していくうちに個性がなくなって空っぽになった気分でした。
そんなどん底から踏ん張れたのは、「自分が本当にやりたいこと」に気づけたからだと思います。私の場合はそれが、ファッションやコスメでした。自分の芯が通っていないと、人からは愛されません。少しずつ私の発信に共感してくれる人が増えてきて、いまは自分を嫌う人にまで好かれようとは思わなくなりました。
アイドルをやめたことがずっとコンプレックスだったけど、だからこそ、SNSで発信を始め、「モテクリエイター」として復活した、というストーリーが生まれました。これが私の武器です。ネガティブなことも、ちょっと見方を変えれば、ポジティブに変えられる。そこをうまく切り替えられる人が、「モテる人」なのだと思います。
失敗することも多いけど、とにかく挑戦し続けています。その一つが、「やりたいことをやって生きたいの」というプロジェクトの立ち上げです。きっかけはファンの子が、芸能事務所にだまされそうになったと聞いたことでした。私も今の個人事務所を立ち上げる前に、危うくヌードにされそうだったんですよ。女の子が夢に向かって頑張りたいという気持ちを逆手に取って、だます大人がいるのが現実です。個人の力で、やりたいことを実現する方法を伝えなければ、という使命感にかられました。
プロジェクトでは何度かワークショップを開きましたが、夢を語っても、行動に移せる子は1割いるかいないか。とにかく行動すれば勝ちで、失敗したってそれが成功につながる武器になるのにと、もったいなく思います。
現実には「女の子だから」「男の子だから」という固定観念は、入り口の部分ではあると思います。でも私はそれが、逆にラッキーだと思っています。だって、SNSのビジネス戦略について話すときも、「23歳の若い女性が何を言っているんだ」と期待値が低いところから始められるんですよ。ジェンダーの壁だととらえず、むしろ、その壁を武器にしちゃえばいいんじゃないかなと思っています。(聞き手・岡崎明子)
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すがもと・ゆうこ 1994年、福岡県生まれ。HKT48のメンバーを脱退後、ニートになるもSNSの自己プロデュースでモテクリエイターに。メイクやファッション情報をSNSで発信し、10代、20代の女性から絶大な支持を集めるインフルエンサー。著書に「SNSで夢を叶える」。愛称はゆうこす。