批評家・東浩紀さん(46)の経営する言論イベント空間「ゲンロンカフェ」(東京・五反田)が、このほど5周年を迎えた。哲学やIT、時事問題、サブカルなど幅広い話題をめぐって多彩な論者が登壇し、連夜のように公開対話が行われている。事業として持続可能な批評空間として成長し、注目されている。
出版不況が語られ、“まじめな言論”を商売にしていく環境が厳しさを増す中、東さんは批評の活性化を目指して会社「ゲンロン」を設立。その一環として2013年2月にカフェを開業した。言論に関心を持つ人々が実際に集える場だ。来場者に酒食を提供するバー機能とネット放送の機能を兼ね備えている。
2月14日夜には5周年企画「東浩紀おおいに語る」も開催。カフェは2千~3千円程度の入場料を支払った観客で満員になり、有料(千円)のネット放送でも約千人が視聴した。「中小企業としてお金が回るシステムをどう設計するか。それが僕の仕事」と東さんは5年間を振り返った。
カフェは黒字続きだという。ゲンロン社はそのほかに、有料会員システム「友の会」とその会報(批評誌「ゲンロン」)の刊行事業も手がけ、そちらのセットも黒字にしている。昨年は東さん自身の著書『ゲンロン0 観光客の哲学』も刊行。3万2千部に達し、毎日出版文化賞を受賞した。
〈お金の余った人が道楽で行う〉のでも〈無償の協力者に支えられる〉のでもない、事業として採算のとれる批評の拠点を東さんは目指してきた。独立性と持続性を手に入れるためだ。「インディペンデントであること」の大切さに、この夜も繰り返し言及した。
「最近の編集者は『一発当てて…