三つの「山口組」と現況
指定暴力団神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)を昨年4月に離脱した勢力が結成した任俠(にんきょう)山口組(本部・同県尼崎市)について、国家公安委員会は15日、指定暴力団の要件を備えていると確認した。兵庫県公安委員会が近く指定を決定し、今月下旬にも官報に公示して指定する。
任俠山口組は神戸山口組の中核組織「山健組」(神戸市)の副組長だった織田絆誠(よしのり)代表(51)らが結成。双方の関係者による事件やトラブルが相次いでいた。昨年9月には任俠山口組関係者が神戸市で射殺される事件が発生。神戸山口組系組員が指名手配された。
警察当局はこれまで神戸山口組の「内部対立」と位置づけてきた。しかし、双方の活動実態などから、任俠山口組は神戸山口組から「分裂」した別の組織にあたると判断。兵庫県公安委は、暴力団対策法が定めた▽組の威力を使って資金を得ている▽犯罪歴がある組員が一定以上いる▽組長の下で階層的に構成されている――の三つの要件を満たすとして、国家公安委に要件に該当することの「確認」を請求していた。国家公安委は専門家(審査専門委員)から意見を聴くなどして確認した。
指定によって、市民への不当な要求に中止命令を出すなど暴対法に基づく規制の対象になる。
警察庁によると、今年2月1日時点で、任俠山口組の組員は約460人。指定されれば23団体目の指定暴力団になる。神戸山口組は約2千人。指定暴力団山口組(本部・神戸市)は16年末時点で約5200人。これらの団体が三つどもえの状態となっており、警察当局は警戒と取り締まりを強める方針だ。(浦野直樹)