名古屋城の鉄筋コンクリート製の現天守に設置されている屋外のエレベーター=名古屋市中区
名古屋市は14日の市議会で、今秋にも名古屋城への入場を期間限定で無料にする方針を示した。市は天守木造化に向けた石垣調査のため、5月7日からコンクリート製の現天守への入場を禁止する。無料化により、減少が予想される観光客のてこ入れを図る。
名古屋城
市議会経済水道委員会で複数の自民市議の質問に答えた。市議は、JRグループが大型観光企画を行う10~12月や、例年観光客が減る12月の実施を提案。市は今後、実施時期や期間を詰めるという。
名古屋城の入場料は高校生以上500円。市が12日の同委員会で示した民間試算は、2016年度に192万人だった入場者が、18年度は145万人に落ち込むと見込んでいる。
新天守にエレベーター、結論先送り
名古屋市は市議会で、名古屋城木造新天守にエレベーターを設けるかどうか決める期限を、当初示した3月から5月に先送りする方針を示した。有識者や障害者団体から、さらに意見を聞くため。5月末までに決めないと、2022年末完成を目指す工期が遅れる可能性があるという。
市は、部局横断のプロジェクトチームで新天守のバリアフリーについて議論している。エレベーターを設けるかどうか、設ける場合は新天守の屋内、屋外のどちらにするかなどを検討している。複数の案をまとめたうえで福祉の専門家や障害者の意見を聞き、結論を出す方針だ。
市は昨年11月、「史実に忠実な復元のため」として一度はエレベーターを設置しない方針を表明。その後、障害者団体から設置を求める公開質問状が出され、再検討を迫られた。