旧優生保護法(1948~96年)の下で、知的障害などがある人たちに不妊手術が強制された問題で、政府は被害の全国的な実態調査をする方針を固めた。当時は適法だったとしてこれまで調査に消極的な姿勢を示してきたが、救済策を議論する自民、公明両党によるワーキングチーム(WT)が発足し、近く厚生労働省に調査を要請するのを受けて方針を転換した。
強制不妊手術、議員立法での救済も視野 超党派議連
強制手術を受けた人は、少なくとも1万6475人いるとされる。被害者を特定する資料は都道府県に残っている可能性が高いが、保管状況はまちまちで残存していないケースも多い。このため、救済には政府の実態調査が欠かせず、政権幹部は「多くの人が苦しめられている。実際にどうだったかは調べる必要があると判断した」としている。
強制手術をめぐっては、今年1月に宮城県の60代女性が全国で初めて国に賠償を求めて仙台地裁に提訴。これをきっかけに今月、超党派の議員連盟が発足し、さらに与党WTも立ち上がった。ともに政府への実態調査の要請や議員立法による救済策を検討しており、WTは近く第1回の会合を開き、厚労省に調査を求めることを決める方針だ。メンバーの一人は「厚労省が動きやすいように与党からのアプローチが必要だ」と話している。
こうした動きを受け、政府はまずは都道府県の協力を得て、手術が実施された当事者の記録の収集を進める方針だ。