アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は20日、仮想通貨に対するマネーロンダリング(資金洗浄)対策を確実に進めることを盛った共同声明を採択し、閉幕した。焦点の貿易問題は「保護主義と闘い続ける」とした昨年のG20首脳会議(サミット)の合意を再確認したうえで、「さらなる対話や行動」が必要だと指摘。名指しを避けつつも、保護主義的な姿勢を強める米国を牽制(けんせい)した。
G20で初めて議論した仮想通貨について、共同声明は「消費者保護、市場の健全性、脱税、資金洗浄、テロ資金供与に関する問題を提起する」と負の側面を列挙。決済機能など「法定通貨の主要な特性を欠いている」とも指摘し、通貨ではなく「暗号資産」という表現を用いた。
またG20は、仮想通貨交換業者への免許・登録制の導入や顧客の本人確認の徹底などの規制導入で一致。参加国以外にも、同様の規制を求める。資金洗浄以外についての規制は、7月に開くG20の会合に先送りした。
米トランプ政権が鉄鋼やアルミに高関税を課すと決め、保護主義の台頭が現実味を増すなか、各国からは米国を念頭に「内向き政策」への懸念が相次いだ。共同声明は、国際貿易を成長や技術革新、雇用のための「重要なエンジン」と位置づけ、自由貿易を重視する姿勢を改めて打ち出した。
ネット上で稼ぐ米大手IT企業への国際課税は「重要な未決着の課題」と整理し、具体的な解決策は2020年までの合意をめざすとした。(ブエノスアイレス=榊原謙、江渕崇)