アルゼンチン・ブエノスアイレスで始まった主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は19日午後(日本時間20日未明)、初日の討議を終えた。米トランプ政権が打ち出す保護主義的な貿易政策を念頭に、「内向きな政策」が世界経済のリスクだとする懸念を表明する国が続出し、米国の孤立が深まった。会議は20日まで。
森友学園に関する公文書改ざん問題を受け、麻生太郎財務相は欠席した。代理で出席した木原稔財務副大臣によると、世界経済が抱えるリスクを議論する中で、保護主義など内向き政策への懸念が各国から出されたという。木原氏は「(保護主義は)世界経済全体の縮小につながり、産業、消費者に悪影響を与え、どの国の利益にもならない」との日本の立場を説明した。
米トランプ政権は、鉄鋼とアルミへの高関税を決めるなど保護主義的な姿勢を強めており、中国や欧州が報復措置を打ち出している。米国は中国が補助金を使って鉄鋼を過剰生産している問題に焦点をあてたい考え。日本政府関係者によると、この日の討議では、中国の名指しは避けつつ、鉄鋼の過剰生産を問題視する声も出たという。
昨年7月にドイツで開かれたG20首脳会議(サミット)では「あらゆる不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘い続ける」との首脳宣言をまとめた。20日に発表する共同声明で、自由貿易堅持の姿勢をどこまで強く打ち出せるかが注目される。存在感を増す仮想通貨をどう規制するかや、米国の巨大IT企業への国際課税のあり方も20日に論議される見通しだ。(ブエノスアイレス=榊原謙、江渕崇)